出典:新華網 2014年4月21日

病原微生物中国工程院メンバーで第二軍医大学医学免疫学中国国家重点実験室の主任である曹雪濤研究者らは、ヒト樹状細胞に選択的に発現する長鎖非翻訳RNA(lncRNA)を発見した。この長鎖非翻訳RNAは新たなメカニズムにより、樹状細胞の分化・発育、抗原提示機能を制御し、免疫応答を喚起できる。本研究成果は、最新号「サイエンス」誌に掲載された。
樹状細胞は顕微鏡でしか見えない樹枝状の形態を呈する細胞であり、体の免疫系を制御し、病原微生物の侵入を防ぐため大切な「哨兵」である。体内に侵入した病原微生物などの抗原を識別し、免疫系に抗原の情報を伝達して、病原微生物を体の中から排除させる。現在、免疫学と生物工学分野では樹状細胞の分化・発育及び機能制御メカニズムの基礎研究に大変注目しており、がんや伝染病、自己免疫疾患、拒絶反応など疾患の免疫治療と創薬研究に、新しいターゲットとアイデアの提供が期待されている。
曹雪濤研究チームはGeneChipと大規模シーケンシング技術で樹状細胞におけるlncRNA発現プロファイルの変化を分析する際に、ある選択的に発現するlncRNAを発見した。機能未知のため、このlncRNAを「樹状細胞長鎖非翻訳RNA(lnc-DC)」と命名した。
研究により、lnc-DCは転写因子STAT3に直接結合し、STAT3のリン酸化状態を制御する新たなメカニズムで免疫応答を喚起できる。「この発見は、免疫細胞の分化・発育メカニズムの認識を深め、ワクチンの研究開発を促進できる。」と曹氏が指摘した。

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