中国バイオ・医薬ニュース 漢方薬に「中国印」を如何にマーキングするか

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漢方薬に「中国印」を如何にマーキングするか

 今年のノーベル医学・生理学賞に中国人として初めて女性薬学者のト・ユウユウ(屠呦呦)氏が選ばれました。現地でもこのニュースは大きく取り上げられています。
 その中で、10月9日の「人民時評」に、漢方の現状について問題提起した興味深い記事がありましたので、今回はその一部をご紹介します。

 屠ユウユウ氏によるマラリア特効薬「アーテミシニン(青蒿素)」の発見がノーベル生理学・医学賞を受賞したことで、「純中国産」の漢方薬は改めて注目の的になっている。
同氏は、「アーテミシニン」は中国伝統の医薬から世界中の人々への贈り物」だと語ったが、この「贈り物」は無償であった。アーテミシニンは中国の「薬品管理法」施行後に初めて承認登録された薬であり、中国の数少ない国産創薬であるが、歴史的な要因によってその知的財産権は多国籍製薬会社が所有しているのである。
 幸い、ノーベル賞の受賞により、屠ユウユウ氏のオリジナリティーが認められた。発見より40年後、数百万人の命を救われたことで、ようやく「中国印」とマーキングされたのである。しかし、本来漢方薬創薬の成果は、このような国際受賞による認知でもなく、「門外不出」による保護でもないはずである。今回の受賞は、漢方薬という宝庫を如何に有効に開発し、利用するかについての重要な問題提起である。

 

 伝統医薬という「祖先が残した宝」を有効に開発し、利用できていないのが現状といえる。例えば、大葛藤(中国名:漢防己)は、中国南部に広く分布し、成分のテトランドリンは抗エボラウィルス薬の候補になっているが、これは「中国発」ではなく、米国とドイツの研究者が初めて「サイエンス」に発表したものである。秘伝のレシピが大量に流出し、商標は海外で登録され、「洋漢方薬」(意味:逆輸入の漢方薬)として国内で特許をとり、外国企業のドル箱になっている。
身近な例では、我が国民は日本でウォシュレットの便座を買い漁り、日本産の漢方薬まで「爆買」しているようである。それは、日本人が「傷寒雑病論」と「金匱要略」などの古書籍のレシピを研究開発したものである。
 屠ユウユウ氏は2000冊以上の伝統医学の古書籍を読破し、アーテミシニンの発見に至ったと語ったが、この方法は愚直に見えるが、実に良いショートカットでもある。西の諸国は経済力と技術の優位性により、同じ方法で世界各地の伝統薬品を必死に発掘している。我々は戦略も手段もなく、このような地道で愚直な開発努力もせず、高価の「逆輸入漢方薬」を購入していることを恥じるべきである。
 屠ユウユウ氏が主張するように、我々は伝統医薬の研究開発をより活性化するメカニズムを確立すべきである。例えば、多数の古来のレシピに加え、地域の民間療法なども検証を行い、どれが科学的でないものか、どれが未発掘のものなのか等、まずはしっかりと情報を収集・整理すべきである。

 

 中国人訪日客の「爆買い」のニュースが頻繁に取り上げられていますが、たしかに日本の漢方薬はお土産の定番になっていると聞きますね。
 記事の内容については、調合のレシピが科学的か非科学的かをどのように判断するのか気になりました。基準は人と時代によって変わってしまいます。例えば、治療には効果が認められない場合でも、予防の観点から原因物質の発生を抑制する効果があるかもしれません。また時間軸からみて今は既存の有効成分が見つからなくても、後に発見される有効成分が含まれている可能性もあります。
 漢方薬のデータベース構築は急務ですが、評価基準を明確した上で、定期的にメンテナンスしていく必要がありそうですね。