中国法律ニュース 2016年5月1日から全業種が増値税の課税対象に

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増値税改革が最終段階へ!5月1日から全業種が増値税の課税対象に、営業税は廃止

財政部、国家税務総局は2016年3月23日付で≪営業税の増値税への徴収変更の試行を全面的に推進する通知≫(財税〔2016〕36号、以下「36号通知」という)を公布し、2016年5月1日から、従来営業税の課税対象だった業種のすべてを、増値税の課税対象とすることを発表しました。
これまでの試行過程で増値税への移行対象に組み込まれていなかった建築・不動産・金融・生活サービスも、5月1日からは増値税の課税対象となり、営業税は完全に廃止されることになります。

 

増値税改革とは

増値税改革とは、営業税の課税税目を増値税の課税範囲に移行するという試みで、2012年1月に上海市で交通運輸業・一部現代サービス業を対象に試行が開始されてから、段階的に業種や地域を拡大してきました。36号通達の公布によって増値税への一本化が完了することにより、サプライチェーンにおいて営業税と増値税が混在する場合の複雑な税務問題が解消されるほか、全業種で仕入税額控除が可能となるなど、全体的な税負担の軽減につながると期待されています。

増値税と営業税の違いは?

増値税と営業税は同じ流通課税でも性質が大きく異なります。
主な相違点をまとめると以下のとおりです。

 

増値税

営業税

課税対象

貨物の販売、加工役務、貨物の輸入 交通運輸、建設、金融、郵便通信、文化スポーツ、娯楽、サービス、無形資産の譲渡・不動産の販売

価格との関係

外税 内税

納税額

売上税額-仕入税額 売上高×税率

税率

17%または13% 3%~20%
増値税の税率は?

36号通知及び付属文書により、2016年5月1日以降の増値税の税率は以下のとおり定められています。

 

サービス

税率

(1)

下記(2)(3)(4)以外のサービス

6%

(2)

交通運輸・郵便・基礎電信・建築・不動産リース、不動産販売、土地使用権譲渡

11%

(3)

有形動産リース

17%

(4)

中国国内単位・個人のクロスボーダー課税行為

0%

36号通知の付属文書ではゼロ税率や免税の適用についてより詳細に規定されているため、これらの通達も十分にご確認ください。

 

なお36号通知の付属文書1では、サービス範囲の定義として、従前の関連通達の「課税サービス範囲注釈」に替えて「サービス・無形資産・不動産の販売に関する注釈」を掲載し、従来の分類にも一部変更を加えています。これを踏まえ、各業種の税率をまとめると以下のとおりとなります。

サービスの販売
交通運輸サービス
  • 陸上運輸サービス:11%
  • 水上運輸サービス:11%
  • 航空運輸サービス:11%
  • パイプライン輸送サービス:11%
郵便サービス
  • 一般郵便サービス:11%
  • 特別郵便サービス:11%
  • その他の郵便サービス:11%
電信サービス
  • 基礎電信サービス:11%
  • 付加価値電信サービス:6%
建築サービス
  • 工事サービス:11%
  • 据付サービス:11%
  • 修繕サービス:11%
  • 装飾サービス:11%
  • その他の建築サービス:11%
金融サービス
  • 貸付サービス:6%
  • 料金直接収受金融サービス:6%
  • 保険サービス(生命保険サービス、財産保険サービス):6%
  • 金融商品の譲渡:6%
現代的サービス
  • 情報技術サービス:6%
  • 文化クリエイティブサービス:6%
  • 物流補助サービス:6%
  • リースサービス:不動産11% 有形動産17%
  • 検証・コンサルティングサービス:6%
  • ラジオ・映画・テレビサービス:6%
  • その他の現代的サービス:6%
生活サービス
  • 文化・スポーツサービス:6%
  • 教育・医療サービス:6%
  • 旅行・娯楽サービス:6%
  • 飲食・宿泊サービス:6%
  • 住民日常サービス:6%
  • その他の生活サービス:6%
無形資産の販売
  • 特許技術及び非特許技術:6%
  • 商標・著作権及びのれん:6%
  • 自然資源使用権:6%
  • その他の権益性無形資産:6%
  • (※土地使用権の販売は11%)

不動産の販売
  • 建築物:11%
  • 構築物:11%
留意点
36号通知の付属文書は4種類です。
  1. 営業税から増値税への徴収変更試行実施弁法
  2. →納税者の定義や税率、納税方法などの基本事項を示したもの

  3. 営業税から増値税への徴収変更試行に係る事項の規定
  4. →付属文書1を踏まえ、業種ごとの税計算方法の注意点などをより詳細に示したもの

  5. 営業税から増値税への徴収変更試行に係る過渡的政策の規定
  6. →免税項目などを示したもの

  7. クロスボーダー課税行為への増値税ゼロ税率及び免税適用政策の規定
  8. →中国国内の単位・個人が海外向けにサービスを提供した場合などの税率などを示したもの

実務にあたっては、上記の通達を十分に理解する必要があります。
但し、いずれも説明が詳細であり、また解釈が難解な場合もありますので、運用上の問題については中国の関連当局や会計士事務所などにご照会ください。また、補足通知の公布にもご注意ください。

中国子会社の税務見直し

中国の各法人は、今後の納税方法に変更はないか、今回新たに増値税の課税対象となった業種がサプライチェーンに含まれていないかを確認し、正しい納税を行うための体制構築が必要です。日本本社でも今般の税制改革を十分に把握し、中国子会社の税務コンプライアンスにご注意ください。

 

これまでの試行の各段階では、取引関係において営業税対象業種と増値税対象業種が混在していること、試行地域と非試行地域が混在していることによる税額計算の混乱が問題になっていました。
今回は全国全業種で増値税への一本化が行われるため、こうした問題は生じないと考えられますが、これまでとは異なる実務上の問題も多く出現すると予想されます。
今後の動向には十分な注意を払い、必要な場合は専門家にご照会されるようお勧めいたします。

 

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