中国における技術ライセンス契約書の注意点

MENU

中国における技術ライセンス契約の注意点(参考)

 日本企業にとって中国は生産拠点としてもマーケットとしても重要な相手であり、何らかの形で中国へ技術展開をしている企業は増加しています。その中で、現地企業等と技術ライセンス契約を締結するケースも増えているようです。
 しかし、中国のライセンス契約に関連する法律規定を十分理解してない上で契約を結ぶことで様々なリスクを招くことになります。このページでは中国おける技術ライセンス契約を結ぶ際のいくつかの注意点を参考としてまとめています。

 

「禁止」又は「制限」の技術に注意

 中国の技術条例によると、「輸出禁止」「制限技術」「輸出入自由技術」に分かれています。契約する前にまず「技術輸入目録」で確認する必要があります。

 

ライセンス契約の登録

 輸出入自由の技術に関しても中国専利法によって、当事者間でライセンス契約を締結した後、契約発効日から3ヶ月以内に行政機関に届出をしなければなりません(「技術輸出入管理条例」第21条)。登録を行ってない場合、契約書の有効性が問われる可能性あるため注意が必要です。

 

技術達成できる目標を明記

 中国「契約法」第349条によると、技術譲渡契約の譲渡者は自らが提供する技術の合法的な所有者であることを保証し、提供できる技術が完全なものであり、誤りがなく、有効でかつ約定の目標に達成できることを保証しなければならない、とされています。つまり達成できる技術目標に関してはライセンサーが保証責任を負うため、技術達成できる目標を明記する必要があります。

 

技術ライセンス契約におけるライセンサーの保証責任

 中国「契約法」第353条によると、中国国内のライセンスの場合、権利侵害責任は原則として任意規定となり、合意により修正排除するか、別途に約定することができます。しかし、「技術輸出入管理条例」第24条の規定によると、渉外ライセンスの場合、権利侵害責任は完全な強行規定となります。
 有名な「富士化水事件」はライセンス契約における特許保証条項の危険性を示す事件です。

 

改良技術の成果の帰属問題

 技術ライセンスを締結した後、中国現地のニーズなどに合わせて技術改良することがあると思われますが、「技術輸出入管理条例」第27条によると、「技術輸入契約の有効期間内に、改良した技術は改良した側に帰属する。」と書かれています。そのため、契約において、改良技術が出た場合の内容まで考えた方が良いと思われます。

 

技術者の派遣期間

 ライセンサーが技術者を中国に派遣して技術指導を行う場合において、期間が特定の12ヵ月内に合計6ヵ月を超えるとき(複数の技術者が交代で6ヵ月を超える場合にも該当する)は、日中租税条約第5条5項により、ライセンサーが中国にPE(恒久的施設)を有すると認定され、PE課税の対象となる可能性があります。
 対策としては、技術ライセンス契約において、中国における技術指導の内容と対価関係を明確にし、当該技術指導に関わらない部分の対価と区分し、PE課税の範囲を限定しておくことが考えられます。

 

原材料の指定

 原材料の調達ルートを過度に制限や義務つける場合には、技術輸出入管理条例第29条1号が禁止する「不可欠ではない技術、原材料、製品、設備又は役務の提供を含む、技術輸入に不可欠でない付帯条件の受け入れを受入側に要求する」条項に該当するおそれがあるため、注意が必要です。
 品質上問題のない製品を製造するため、原材料及び部品の調達先の限定でなく、品質及び仕様に関するライセンサーの指定権を規定する方法もあります。

 

製造物責任との関係

 ライセンスした技術を用いて製作した製品は、ライセンサーの商標を付して販売する場合、中国の関係法規により、商標ライセンスをした外国企業も製造物責任を追及される対象となる可能性も否定できません。したがって、ライセンサーの商標を付して販売する場合には、より一層の品質維持を確保させるよう、契約書上においても何からの対策をとる(規定を設ける)ことが望ましいと考えられます。

 

技術と商標同時ライセンスする場合における営業税の免除

 技術と商標の両方を同時にライセンスする場合、営業税の免税が受けられるのは技術ライセンスの対価部分のみとなります。技術ライセンスのロイヤリティと商標ライセンスのロイヤリティが明確に区分されないとき、または商標ライセンスのロイヤリティが明らかに低すぎるときは、「契約総価格」の50%を商標ライセンスのロイヤリティとして営業税が課されるとされています。

 

準拠法の選択しない場合

 準拠法の選択がない場合、中国の国際私法によると、契約に最も密接な関連を有する国家の法律(最密接関連地法)となり(契約法第126条1項)、日本の国際私法(法例)によると、契約の成立及び効力については行為地法が準拠法となります。
 中国で締結され、ライセンシーが中国企業であり、履行地も中国である場合は、中国法が最密接関連地法及び行為地法となる可能性が高くなります。

 

中国での技術ライセンス契約は、実務上基本となる「契約法」以外も「技術輸出入管理条例」など関連する法律を把握することが重要です。