早いもので2020年の東京オリンピック開催まで2年を切ろうとしていますが、お隣り中国でも2022年の北京冬季オリンピックに向けて着々と準備が進められています。
その一環としてこのほど、「オリンピックシンボル保護条例」が改正されました。
元々は2008年の北京オリンピックを視野に制定された条例でしたが、近年の知的財産権保護の気運も相まって、よりオリンピックシンボル保護の強度を高めた内容となっています。
改正前の同条例は2002年に公布され、保護対象に「北京オリンピック競技会実行委員会」の名称その他を含むなど、北京オリンピックに特化した内容を一部含んでいましたが、改正後の条例には2022年の北京オリンピックに限定した保護対象はなく、今後中国で開催されるオリンピック全てに適用可能な内容となっています。なお、具体的な保護対象は以下の通りです。
- 国際オリンピック委員会の五輪マーク、旗、モットー、エンブレム、賛歌
- オリンピック、オリンピア、オリンピック競技大会及びその略称等の固有名称
- 中国オリンピック委員会の名称、エンブレム、シンボル
- 中国国内のオリンピック競技大会開催を申請する機構の名称、エンブレム、シンボル
- 中国で開催するオリンピック競技大会の名称及び略称、マスコット、賛歌、トーチ、スローガン、「主要開催都市+開催年」等のシンボル、及び組織機構の名称、エンブレム
- ≪オリンピック憲章≫及びオリンピック競技大会に関わる開催都市契約において規定する、中国国内で開催するオリンピック競技大会に関連するその他のシンボル
また、従来の条例との主な変更点は以下の通りです。
1.アンチ・アンブッシュ・マーケティングの徹底
IOCやオリンピック組織委員会といった権利者の許諾なしにオリンピック・パラリンピックに関する知的財産を使用したりイメージを流用して、公式に関与したりスポンサーシップを行っているように見せかけることをアンブッシュ・マーケティングと言い、日本でもこれを防止するべく様々な方策が採られています。改正条例でもこうした行為につき、不正競争を構成する場合は不正競争防止法に基づき処理される点を明確化しています。
2.オリンピックシンボルの更新制度導入
改正条例では、オリンピックシンボルの有効期間が10年と定められました。有効期間満了前12ヶ月以内に更新手続を行えばそのたびに10年の延長が可能ですので、商標法に類似した規定ぶりとなっています。
3.罰則強化
オリンピックシンボルを商用目的に権利者に無断で使用することは当然のことながら従来から権利侵害とされていましたが、改正条例では「人々の誤認を招くに足るような類似のシンボル」を使用することも権利侵害と定めています。また、侵害行為により違法な営業収入を得ていない場合の罰金を従来の5万元以下から25万元以下に引き上げるなど、罰則を強化しています。
改正条例は2018年7月31日より施行されます。
はこちらをご参照ください。
(日本アイアール A・U)
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