昨年「純中国産」の漢方薬がノーベル賞を受賞し、大きな話題となりました。
当サイトでも、中国の漢方薬の現状に関する記事をお届けしましたが、今回は中国人訪日客に人気の医薬品(またはヘルスケア製品)の爆買いリストをご紹介しながら、ドラッグストア等の中国人インバウンドビジネスについて考えてみたいと思います。
まずは、中国の検索サイト「百度」(BAIDU)などにおいて、「日本神薬」として紹介された製品の一部をご紹介します。
中国語の商品名 | 日本での商品名(メーカー) |
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龙角散 [止咳化痰药] | 龍角散ダイレクトスティック (龍角散) |
EVE QUICK头痛药 [解热镇痛药] | イブクイック頭痛薬 (エスエス製薬) |
大正口腔溃疡贴 | 口内炎パッチ (大正製薬) |
ALLEGRA FX [鼻炎药] | アレグラ (サノフィ) |
皇汉堂清肠便秘丸 | ビューラック (皇漢堂) |
百毒下 | 和漢便秘薬「百毒下し」 (翠松堂製薬) |
撒隆巴斯 | サロンパス (久光製薬) |
叁天玫瑰眼药水 [眼药水] | サンテ ボーティエ (参天製薬) |
退热贴 | 冷えピタ (ライオン) |
この顔ぶれ、いかがでしたか?
筆者が使っている人気商品も入っていましたが、少し意外な商品も人気があるようです。
日本での滞在時間が限られていることもあり、多くの中国人旅行客はスマホを見ながら中国国内での口コミと写真を参考にして同じ商品を探します。
SNS上には価格の写真も載っているので、この価格と同等もしくは安かったら爆買い開始、となるわけです。
中国人観光客の定番・「ドラッグストアでの爆買い」を生み出すためのキーワードとして、以下の3つを挙げてみたいと思います。
1. 中国伝統医学
もともと中国人は食や生活の養生法として漢方薬を日常で使用していますが、中国の人々にとって日本の漢方薬は「偽物がない」「信頼できる」というイメージが定着しています。
中国の人々は「日本の漢方薬は高品質」と考える傾向にあるのです。
中国では粗悪な漢方薬が出回ることも多く、その反動もあるかもしれませんね。
2.ブランド力(すなわち:日本でも人気)
「マツモトキヨシ」など大手ドラッグストアでは中国人向けサイトを設けています。
そのなかでは「日本人に信頼されている薬品リスト」として上記のような商品が紹介されています。メーカーや商品のブランドが確立されていて安心感があり、《made in japan》の印もパワー絶大です。
3.SNSとの連携
現地のソーシャルネットワークを活用し、予め商品をプロモーションしておくことが効果的とされています。来日後、外国人の位置・移動情報を集計・分析し、特化し、外国人観光客の行動傾向や嗜好性を明らかにし、訪日外国人の興味や関心を的確に把握することも大事です。
しかし、中国ではこの「爆買い」を嘆くような論説も多くのメディアで掲載されています。
(例)原料国産の風邪薬、なぜ日本わざわざ日本に買いに?
※「人民日報」サイトの中国語原文はこちら
日本が中国の伝統薬を活用して世界中で大きな利益を上げており、しかもその原料である生薬のほとんどが中国産であるという事実は、最近では中国国内でも認識されつつあるようです。
日本漢方生薬製剤協会の調べたところでは、原材料の8割が中国産であり、例えば多くの漢方薬に含まれて最も消費量の多い「甘草」(カンゾウ)という生薬については100%中国産ということです。
中国国務院などの行政機構から、「いい薬を作ろう、中国のため」というスローガンを掲げ、政策・資金面など研究・製造に手厚く支援する方針を打ち出しています。
中国人の心を掴むインバウンドマーケティング、というより、中国人消費者の争奪戦は激しくなりそうですね。
(F・G)
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