成長を続ける中国の健康食品市場!日本勢にビジネスチャンスは?

日本では、いわゆる「特保(トクホ)」や「機能性表示食品」なども含めた健康食品市場が拡大を続けているようですが、今回は中国の健康食品事情に関する情報をお伝えします。

機能性表示食品中国には古くから中医学理論に基づいて食材と中薬(漢方薬)が組合せた料理、つまり薬膳という養生法があります。殆どの中国人はよく使われる生薬の効能を良く知っています。例えば、「当帰は補血、補虚、産後に用いるとよい」「なつめは補気、整腸」「甘草は咳止め」という具合で、食事の際に親から子、子から孫へと食材の効能が代々に言い伝えられてきたこともあり、食と健康について高い関心をもっています。

近年、医食同源の中国でも、消費者の所得水準の向上と共に健康意識が益々高まっており、その手軽な手段として健康食品は年々注目を集めています。

日本では「健康食品」という言葉について法律上の定義は無く、広く健康の維持・増進に資する食品として販売・利用されるもの全般を指しています。そのうち、国の制度としては、国が定めた安全性や有効性に関する基準等を満たした「保健機能食品制度」があります(厚生労働省HPより)。
中国では「健康食品」のことを「保健食品」といいます。健康意識の高まりと高齢化社会の進展などで健康補助食品の市場は成長を続けており、今日のその市場規模は 3,000 億元(4.5兆円)に迫り、米国に次いで世界第 2 位のマーケットになっており、免疫力増強、ダイエット、抗酸化、血圧降下、疲労回復、口腔清涼、眼精疲労回復などに関するものが人気商品です。

しかし同時に「保健食品」の名称も濫用するようになったため、管理監督体制が強化され、例えば、疾病予防や治療を明示あるいは暗示させるもの、虚偽、誇大で、消費者の誤解を招く、あるいは騙すような文字や図形、「××監制」「××合作」「××推荐(すいせん)」の表示などは禁止されているそうです。
昨年7月まで国家食品薬品監督管理局(CFDA)が認可した保健食品は約16,000件で、輸入品は800件未満となっています。法的には登録に8~9カ月を要するとなっていますが、実際には 2~3 年かかることも珍しくないそうです。また、この間に高額の検査費用が要求されることもあり、多くの企業が保健食品市場への参入を検討したものの、長い登録期間と高い費用を理由に参入を諦めてしまうケースも珍しくないようです。

しかし、日本企業にとっては、中国の健康食品市場に大きなビジネスチャンスがあることは確かです。。中国の人々が日本で爆買いをする主な理由に、「中国にはない」「偽物がない」「品質が保証されている」という点があります。Made in Japanの品質・安全性への信頼度は高く、志向も治療促進や病気予防から美容、ダイエット、若返りが売れ筋へと変化しています。
JETROの報告では以下の点を指摘しています。

  • 欧米各社は以前から進出しており、サプリメントなどの栄養補充剤が主流で、機能性保健食品は多くない。一方、日本企業の製品はアジア人の体質により適しており、機能性保健食品を中心とし、欧米製品と差別化を図れば、人気を集められる可能性がある。
  • 日本は健康食品や保健食品の生産に豊富な経験を持ち、多くの良質な製品が存在するが、その大部分が中国市場に参入していない。
  • 元々、日本料理や日本製の食品は人気が高いことから日本の健康食品も大きな潜在力を有している。日本製品が特殊な機能をもっとアピールすることで、消費者に注目度が高まる可能性がある。
  • 日本製健康食品が医療保険システムに参入し、顧客が医療保険カード(※)で購入することが可能になれば、販売には大変有利である。
(※)医療保険カードとは、医療保険個人口座専用のカードで、個人の身分証明書が識別番号になっており、身分証明書番号、氏名、性別、医療保険口座の残高、消費状況などのデータが記録されている。各都市指定の銀行で発行され、地方医療保険事業部門からの要請により各人の医療保険口座へ所定の金額が振り込まれる。被保険者は指定の病院や薬局などで薬品を購入する際、レジで医療保険カードを提示して商品の代金を支払うことができる。

特に漢方を用いた健康理念は中国の伝統であり、広く受け入れられており、大きな潜在市場があると思われます。消費者の健康意識の高まりにつれて、今後も特に漢方系の健康食品の需要は増え続けるのではないでしょうか。
(F・G)


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