2016年1月6日、工業情報化部など8部門が連合で「電器電子製品の有害物質使用制限に係る管理弁法」(以下、「新弁法」という)を公布しました。
新弁法は中国版RoHSと言われる「電子情報製品の汚染制御に係る管理弁法」(以下、「旧弁法」という)の改正版にあたるもので、対象範囲の拡大など、いくつかの変更点が盛り込まれ、2016年7月1日より施行されます。(旧弁法は同時に廃止)。
以下、主な変更点をご説明します。
1.対象製品の拡大
法律名が変更されるとともに、対象製品が「電子情報製品」から「電器電子製品」となりました。「電器電子製品」は第三条により、以下のとおり規定されています。
「電流または電磁場に依存して作動する、もしくは電流及び電磁場の発生・伝導と測定を目的とする、定格電圧が直流1,500V以下、交流1,000V以下の電気電子製品及びその付帯製品。このうち、電気エネルギーの発生・伝導と分配に係る設備を除く。」
これにより、これまで規制対象外であった「白物家電」なども対象製品に含まれることになります。世界の多くの国では、有害物質の使用制限に関する法律の適用対象に冷蔵庫や洗濯機などの家電も含まれています。このため、一部の中国企業が海外向け製品には有害物質について厳格な基準を適用する一方、中国国内向け製品には相応の措置を採っていないというダブルスタンダードが生まれていることが指摘されていました。新弁法では対象製品の拡大により世界基準へのさらなる適合を図ったと考えられます。
2.使用を制限する有害物質の範囲
使用を制限する有害物質についても、従来の対象物質のうち「鉛、水銀、カドミウム、六価クロム」については「鉛及びその化合物、水銀及びその化合物、カドミウム及びその化合物、六価クロム及びその化合物」と範囲を拡大しました。
3.リスト管理の調整
旧弁法では、汚染制御の「重点管理リスト」を制定し、リストアップされた製品に対し強制認証管理を行うとしてきましたが、新弁法では、これを廃止し、新たに「基準到達管理リスト」を導入しました。
また、「基準到達管理リスト」にリストアップされた製品については、「合格評定制度」に基づき管理するとしています。合格評定制度については今後工業情報化部が関連部門と共同で詳細を決定する見通しです。
電器電子製品の商品サイクルは比較的短く、強制認証の適用により製品のリリース時期が遅れるといった懸念が生じていたことから、管理方法の見直しを図ったと見られます。
上記の変更点に加え、関連する科学技術政策、財政政策による支援の充実などについても強調されており、電器電子製品に係る有害物質の代替物質や減量化などの技術・設備の開発を積極的に推進する方針が示されています。
今回の改正では、中国向けに輸出を行う企業に関連する部分(有害物質関連情報の表示義務等)に大きな変更はみられませんが、管理制度の詳細や関連細則の公布には引き続き十分にご注意ください。
- 法律関連文書の中国語翻訳に関するページはこちらをご参照ください
- 環境分野の中国語翻訳に関するページはこちらをご参照ください