取引契約

中国における「取引契約」に関する基本的な注意事項の一部をまとめています。

基本情報と契約履行能力の確認

契約の締結前に、当然ながら取引相手方の基本情報を確認する必要があります。また、薬品、医療機器、酒類製品の売買など中国の法規制により当事者に特別な経営資格を取得する必要がある場合、取引相手側がこれらの資格を有するか否かを確認することが必要です。

所有権の移転

中国の「契約法」第133条では、法律に別段の定めがあるもの又は当事者に別途約定がある場合を除き、契約目的物の所有権は契約目的物の引渡しに伴い移転する、とされています。
取引契約や売買契約において、買主が代金支払義務又はその他の義務を履行しないときは、貨物の所有権は売主に属するものと定めることができます(「契約法」第134条)。

裁判所の制限

中国国内の取引契約の場合、裁判所の範囲は「被告の住所地」、「原告の住所地」「契約(義務)履行地」「契約締結地」「目的物の所在地」にある中国の裁判所に制限されている点に注意が必要である。

国際的な取引となる場合の留意点

貨物の輸出入制限

2002年1月1日施行の「中華人民共和国貨物輸出入管理条例」によると、貨物は「輸入禁止貨物」、「輸入制限貨物」と「自動輸入貨物」に分類されまる。自社で扱う貨物がどの分類に該当するか事前に確認する必要があります。貨物の輸入制限については、輸入割当制、輸入許可証制がとられており、許可を得なければ輸入することができないことに注意が必要です。

準拠法明記によるCISGの適用排除

日中両国は共にCISG(「国際物品売買契約に関する国連条約」(「United Nations Convention on Contracts for the International Sale of Goods」))の締約国となっており、CISGの適用を排除する旨の特約がない限り、日中間の物品売買契約にCISGが適用されることになります。
CISGの適用を排除するためには、「CISGの適用を排除して、中国法(又は日本法)を準拠法とする」などを契約書において明記しておく必要があります。